事業概況報告書の書き方

一般貨物自動車運送事業者は毎事業年度の経過後100日以内に、当該事業年度に係る事業報告書を運輸支局へ提出する必要があります。

必要書類
・決算書類(確定申告書類)
・従業員全員の人数と運転者の人数など

事業概況報告書は税務署の決算書とは別に毎年1回運輸支局に提出しなければなりません。事業概況報告書は決算書をそのまま転用すればよいというものではなく独自に作成する必要があります。特に一般貨物自動車運送事業とは別に他の事業をしている場合はその事業と区別して管理しておく必要があります。決算書において燃料費の項目がなかったり、他の事業との区別が出来ていなかったりすると事業概況報告書を作成するのに大変手間がかかります。一般貨物自動車運送事業を営業するにあたって、事業概況報告書の作成は必須になるので、早めに対策をしておくことが無難です。

事業概況報告書見本

事業概況報告書(第1号様式)

事業概況報告書①

事業概況報告書②

※1 事業者番号を書く

9桁の事業者番号を書きます。

※2 事業年度を記載する

年月日は、事業年度の始期と終期を記載します。

※3 申請者情報を記載する

一般貨物自動車運送事業者なら許可申請したときの情報を記載します。

※4 資本金や発行済株式総数を書く

発行済株式総数は株式会社以外の有限会社等は記載しません。

※5 主な株主を書く

所有株式の多い順に五名を記載します。所有株式数及び発行済株式の総数に対する所有割合をそれぞれ記載します。

※6 役員を記載する

役員の欄は、取締役(理事)及び監査役(監事)等の役職名を明記します。役職名は代表権を有する者については代表取締役社長等と明記し、その地の取締役についても専務取締役、常務取締役等と明記します。続いて、氏名、常勤・非常勤の有無を記載します。

※7 経営している事業を書く

事業年度中に経営した事業の全部を記載します。
例えば一般貨物自動車運送事業の他に貨物利用運送事業、倉庫業、建設業などを経営している場合はその種類ごとに記載します。
従業員数は期中の平均従業員数を記載します。従業員数には、役員も含みます。しかし、無報酬の非常勤役員等は含みません。従業員数は主として当該事業に従事している人数について各事業ごとに記載します。なお、一般貨物自動車運送事業の平均従業員数は、第3号様式の支払い延人員(人月)の合計値を月数で除したものと等しくなります。

一般貨物自動車運送事業損益明細表(第2号様式)

 

事業概況報告書③ 事業概況報告書④

※8 一般貨物自動車運送事業損益明細表の書き方

営業収益の例

1 一般貨物自動車運送事業に係る運賃・料金及び利用料 
①貨物運賃 
貨物の運賃、品目割増、特大品割増、特殊車両割増、悪路割増、冬季割増、休日割増、深夜・早朝割増等を含む。
②その他 
集配料、地区割増料、車両留置料、道路使用料その他諸料金、荷役料その他運送に関して求められるサービスに対する実費

2 運送雑収
品代金取立料、貨物引換証発行料、着払い手数料等諸手数料、事業用自動車を使用して他人の広告を行った場合の広告料収入等

営業費用の例

1 運送費
①人件費
一般貨物自動車運送事業の現業部門に係る人件費
⇒人件費には運転者、修理工、運行管理者等の専ら事業用自動車の運行に従事する者の人件費を内数として()書きで明記します。
②燃料油脂費
事業用自動車、荷役機械等に係る燃料費及び油脂費
③修繕費
事業用自動車、建物その他の事業用固定資産(運送事業の現業部門に係るものに限ります。)
④減価償却費
事業用固定資産に係る減価償却費。
⑤保険料
自動車損害賠償保険料、対人・対物の任意保険、トラック共済掛金、一般貨物自動車運送事業の現業部門に係る建物の火災保険、荷物保険、盗難保険等の保険料
⑥施設使用料
事業用施設、従業員の社宅等の土地の賃借に要する費用、事業用社屋、従業員の社宅等の賃借に要する費用、荷役機械等事業用固定資産に係る利用料。ただし、⑦に該当するものを除きます。
⑦自動車リース科事業用自動車に係るリース料。
⑧施設賦課税
一般貨物自動車運送事業用の土地、建物、構築物、機械装置等に係る固定資産税、事業用自動車に係る自動車重量税、自動車税等。なお、不動産取得税、自動車取得税は固定資産購入の費用として取得価格に含めます。
⑨事故賠償費
事故による見舞金品、慰謝料、弁償金等
⑩道路利用料
有料道路を利用する場合に支払う料金
⑪フェリーボート
フェリーボートを利用する場合に支払う料金利用料
⑫その他
旅費、被服費、水道光熱費、備品消耗品費等のうち現業部門に係るもの、通信費、会議費、交際費等事業の遂行上支出されたもの等
また、貨物自動車利用運送に係るいわゆる下請費等、他社の事業者に支払った費用を運送費のその他の内数として()書きで明記します。

2 一般管理費
①人件費
役員報酬、管理部門の従業員等の人件費
②その他
管理部門に係る減価償却費、保険料、施設使用料及び施設賦課税並びに広告宣伝費等

営業外収益の例

1 営業外収益
営業活動以外の原因から生じる経常的な収益
①金融収益
営業活動に附随して行われる財務活動又は投資活動によって得た収益。預貯金利息、受取手形利息、受取割引料、有価証券利息、受取配当金等
②その他
流動資産売却益(貸借対照表の流動資産に整理した有価証券、貯蔵品等の売却による差益、不用品売却代、遺失品代、諸手数料等

営業外費用の例

1 営業外費用
営業活動以外の原因から生じる経常的な費用
①金融費用
支払利息、支払割引料、社債利息、社債発行差金償却、社債発行費償却
②その他
流動資産売却損(貸借対照表の流動資産に整理した有価証券、貯蔵品費等の売却による差損、繰延資産に計上された創業費、開業準備費等の償却額等

一般貨物自動車運送事業人件費明細表(第3号様式)

事業概況報告書⑤

この人件費明細表は、運転者及びその他の運送関係の職種の人件費及び役員、本社事務員等の一般管理費に属するものの人件費について、それぞれ給料・手当、賞与等の人件費の内訳及び支給対象となった従業員の年間延人員等を記載いたします。
なお、他の事業を兼営している場合の一般管理費に属する各項目については「貨物自動車運送事業に係る収益及び費用並びに固定資産の配分基準について」等により各事業に適正に配分した上で一般貨物自動車運送事業に係る人件費を記載します。例えば、人件費は従業員の実働人日数の比率、燃料油脂費は車両の走行キロ比率を基準に配分します。

※9 一般貨物自動車運送事業人件費明細表の書き方

①役員報酬
取締役、監査役等に支払う報酬。
②給料・手当
賃金として毎月従業員に支払われるもの。
③賞与夏季、年末、年度末等に支払われる臨時的給与。賞与引当金を設定している場合はこれに含めて計上する。
④小計給料・手当及び賞与の小計。なお、一般管理費の役員報酬は含まないので注意すること。
⑤支給延人員
給料支払の対象となった月別人員の当該事業年度における累計人員(人月。)
⑥退職金
従業員が期の途中で退職し、現実に費用として支出した退職金の額及び従業員各人につき決算整理の際計算した退職給与引当金の各職種ごとの合計額。
⑦法定福利費
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労働者災害補償保険等社会保険の保険料の事業主負担分。
⑧厚生福利費
医療・医薬品代健康診断代食事補助金運動・娯楽用品代慰安旅行費用従業員に対する慶弔見舞金、厚生施設・備品の維持運営に係る費用等。
⑨臨時雇賃金
臨時に雇用した者に対する賃金・手当等。日雇健康保険料等の法定福利費もこの項目に記載する。
⑩雇用延人員
臨時雇賃金支払の対象となった日ごとの当該事業年度における累計人員(人日)。

(各勘定科目は事業報告関連書類の記入要領を参考)

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